2017年夏・小笠原航海記 0 

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2017年夏・小笠原諸島航海記
                                 
                                  第2次クルージング



第1次クルージング時の航程計画

目次
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1   [母港待機]   6/20-6/22
2   [出港]   6/23-6/24
3   [三宅島滞在]   6/25-6/29
4   [八丈島へ]   6/30-7/1
5   [小笠原へ]   7/2-7/6
6   [父島で遊ぶ]   7/7-7/16
7   [母島に出かける]   7/17-7/18
8   [ふたたび父島で暮らす]   7/19-7/24
9   [台風]   7/25-7/29
10   [交流の日々]   7/30-8/9
11   [帰途につく]   8/10-8/14
12   [帰航]   8/15-8/22

はじめに


 小笠原へ行く時期は通常、梅雨どき(5〜7月)がよいとされている。海上を北上してくる梅雨前線を越えて、夏の安定した小笠原高気圧の中に入り、台風が発生する前に帰ってくるというのが定番スケジュールだ。5月に一度チャレンジした(第1次小笠原クルージンング 5/23〜29)ときも、この梅雨前線の動きをにらんで出港した。当時小笠原付近にあった前線が北上すると見込んで、伊豆諸島のどこかでやりすごそうとしたのだ。しかし前線は動こうとしなかった。目的地である小笠原に前線が停滞しているのではどうしようもない。大島まで行って3泊待ったが、「とっとと帰ったほうがよい」という、友人の気象予報士、笠原久司氏のアドバイスに従って引き返した。今回(第2次小笠原クルージンング)は、その延長上の再チャレンジだ。実は、第1次クルージングは、小笠原&沖縄クルージングの予定(全行程3300マイル)であった。小笠原到達後、6月中旬には、南大東島経由で沖縄に向かう計画を立てた。台風が日本に向かって来る前に、小笠原高気圧を利用すれば可能だろうと考えた。猫たちは8m以上の風が吹く海には耐えられない。したがって荒れた海は避けるというのが、我が艇の絶対条件なのだが、台風の季節の前に沖縄まで行ってしまえば、あと沖縄及び南西諸島は、島伝いに無理せずゆっくり回ればよいと目論んだ。必ずしも自信があったわけではないが、やってみる価値はあると思っていた。しかし出発が1か月後となって、その前提は崩れた。第2次クルージングの目的地は、小笠原だけに大幅縮小した(往復1200マイル)。笠原さんには、再び気象情報提供のバックアップをお願いした。彼との連絡担当はえり子さん。毎朝6:30の定時連絡体制をとっていただいた。笠原さんによれば、小笠原だけなら、前線が本土にかかってからの出発もありうるとのことだった。出発時に前線が北上していれば、高気圧の中に直接入って行くことになり、台風の心配さえなければかえって好都合というわけだ。幸い、今年は、ここ数年の台風早期上陸傾向が見られなかった。すでに1号(4月)・2号(6月)が発生していたが、いずれもフィリッピン付近で発生・消滅し、日本には向かってこなかった。もしかすると、台風の少ない年になるかもしれないという期待さえ抱いて出発した。しかし実際には、思いがけず小笠原に1か月の長期滞在となった。長寿台風と言われた台風5号の迷走のおかげであった。
 小笠原はヨットマンにとって、南太平洋クルージングの通過点として特別な場所だ。長期航海については、知識も経験も、これまでそれなりに積んできたつもりであったが、今回その玄関口まで行って扉の向こうをちょいと覗いただけであったが、自分がまだいかに準備不足か思い知らされることになった。準備不足でも出かけることに意義ありというのも一面の真理であろうが、なすべきことをおろそかにするなら、シーマンシップとは言えまい。クリアすべきハードルの高さを測りきれているわけではない。しかし、ことは、私が引き続き南洋諸島へのロマンを追うとすれば、越えねばならない課題である。この航海記は、それらを自分なりに整理するために書いた。他の人が読んで、どうでもよいことが記録されているかもしれない。退屈なら読み飛ばしていただきたい。ただ、私が抱える課題は、エンジンや無線や操船など技術や装備にかかわる問題だけではない。なぜ海に出るのか、ヨットで何をしたいのかなど、私自身の精神面で見直すべき問題も含んでいる。その意味で、できるだけすべてを記録しようとした。その点お含みいただきたい。また、今回は、1日1句、俳句を詠むことを自らに課した。最初は季語にも留意して作っていたが、そのうち季語無しになってしまった。自由俳句がいいと開き直るつもりはない。技量未熟な拙い作品ばかりだが、これも御寛恕いただきたい。

<クルージング準備> 今回行った準備の主なものは以下のとおり(第1次クルージング以前も含む)。洗濯用脱水機とゴミ焼却炉を僚艇「ハリー」の相川さんのアドバイスで購入した。緊急連絡用のPLBと衛星電話の認可・契約手続きも済ませた。衛星電話については、「ポパイジュニア」クルーの藤田君から貸与というありがたい申し出もあったが、電話会社との契約の関係で自前で用意した。「アース5」クルーの松本君の協力で、船内のワイファイ環境を整備し、気象ファックスシステムを構築した。さらに、大型収納ケースを載せるアフトデッキのパイプ枠を制作し、ウォッシュレット用とパソコン用に3か所のインバータの完備した。メインファーリングシステムの修理は、部品のベアリングの販売期限が切れていたので難航した。境野さんに代替部品の制作を依頼する一方、「エスケーオー」の田中さんを通じて適合する型のベアリングがないか探してもらい、両者ほぼ同時にやっと間に合ったが、境野さんの代替部品をつけてもらった。ハーバー出入りの山崎君からは、本船使用の丈夫な中古シートを2本プレゼントされ、「イントレピッド」の椙山さんからは、前回の瀬戸内海クル−ズに続き手作りケンケンをまた頂いた。間際になって予期せぬ事態に2件遭遇した。1件は、関東総合通信局から、クルージング真っ最中となる7月に無線検査を行うよう通達が届いたこと、もう1件は想定外の事故で、スターンパルピットの修理が必要となったこと。前者は「横浜通商」と「タモット」の協力で前倒しで実施できた。後者も「シューワステンレス工業」の高橋さんの協力で、ぎりぎり終了した。そのほか、クォーターバースやバウバースの改造・整備、プロパンガスの充填、海図の補充購入、ペット用消臭器の購入、購読刊行物の休止と不在中の郵便物留め置き依頼、常時服用薬の3か月分入手。もう一つあった。今回は浦賀の野村動物病院の先生とかねて相談していた、猫の酔い止め薬を試すつもりだった。行く前にその薬を入手しなければならない。やるべきことは山ほどあったが、ほとんどすべて完了した。ただ一つ、第2燃料タンクのセンサーのセンダーが壊れていたが、「マリンサービス児島」に調べてもらったら純正部品の調達に3〜4か月はかかるというので、これだけはあきらめた。清掃不十分な第1タンクは使用せぬ方がよいけれど、センサーの生きている第3タンクと合わせて使えば、第2タンクも使いこなせるであろうと判断しての見切り発車である。
 
ログ記録 (各レグ出発前の予報のみ示す)
月・日 気象庁予報  出港 入港 走行距離
06/23 <神奈川県東部>北の風のち南の風晴れ時々くもり、波1m、風8m
<伊豆諸島北部>西の風のち南の風くもり昼過ぎから晴れ所により明け方まで雨、波1.5m
市民ハーバー 04:43 波浮港 11:25 52NM
06/24 <伊豆諸島北部>東の風のち北東の風くもり新島では昼過ぎから雨、波1.5m
<伊豆諸島南部>東の風のち南西の風やや強くくもり昼過ぎから雨八丈島では夕方から夜の初めごろ雷を伴い激しく降る、波2mのち2.5m但し三宅島は1.5m
波浮港 06:10 阿古港 13:30 40NM
06/30 <伊豆諸島南部>西の風三宅島ではのち西の風やや強くくもり三宅島では朝から昼過ぎ雨で雷を伴う、波1.5m 阿古港 10:50 神湊港 16:30 62NM
07/02 <伊豆諸島南部>西の風やや強くくもり所により昼前まで霧、波2m 神湊港 15:30   400NM
07/03      -
07/04      -
07/05      -
07/06     二見港 06:00  
07/15 <小笠原諸島>南西の風くもり昼過ぎから時々晴れ所により昼前まで雨、波1.5m 二見港 10:10 二見港 12:20 12NM
(兄島)13:30-14:40
07/17 <小笠原諸島>南西の風のち西の風晴れ時々くもり、波1m 二見港 08:15 沖港 13:15 32NM
07/18 <小笠原諸島>南西の風晴れ時々くもり、波1m 沖港 05:00 二見港 14:15 32NM
(東港)08:00-13:29
08/11 <小笠原諸島>西の風くもり時々晴れ、波1.5m 二見港 05:58   400NM
08/12      -
08/13      -
08/14     神湊港 18:45  
08/18 <伊豆諸島南部>北東の風のち南西の風くもり昼過ぎ晴れ、波1.5m [濃霧注意報] 神湊港 04:45 阿古港 16:00 62NM
08/21 <伊豆諸島南部>東の風のち北東の風くもり時々雨、波1.5m
<伊豆諸島北部>東の風のち南の風くもり昼過ぎから時々晴れ、波1.5m
<神奈川県東部>北東の風のち南東の風、波1m、風6m
阿古港 05:00 浦賀 15:38 70NM
08/22 <神奈川県東部>南の風海上では南の風やや強くくもりのち雨昼過ぎまで晴れ、波1m、風10m 浦賀 09:38 市民ハーバー 11:40 20NM
 



BGM=
ANGEL

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